伝説の海外ドラマ『ツイン・ピークス』への一人旅

娯楽旅行

伝説の海外ドラマ『ツイン・ピークス』を知っているだろうか?

若い人にはわからないかもしれない。
フレンズ、SATC、24 、フレンズまでなら、まだわかるかも知れない。
もしくはX-ファイルがギリだろうか。

『ツイン・ピークス』はそのXファイルより前に世界的に大人気を誇ったテレビドラマである。
(ちなみに、X-ファイルのモルダー捜査官が女装にハマっちゃった捜査官役で出演している)

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ツイン・ピークスのジャンル、あらすじ、特徴

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ツイン・ピークス/ローラ・パーマー 最期の7日間 リストア版(字幕版)

ツインピークスという小さい田舎町で、学園の人気者である女子高生ローラ・パーマーが他殺体となって発見されることから物語は始まる。
同じく、地元女子高生のロネット・ポランスキーという少女も錯乱状態で橋を渡っているところを保護される。

この二つの事件と一年前起こった同様の事件に共通点があることから、FBIのクーパー捜査官がツインピークスにやってきて事件解決に乗り出す、というストーリー。

一見平和に見えていたツインピークスの住人はみんな秘密を抱えており、一癖も二癖もあって、それぞれのエピソードが秀逸で、そして複雑に絡み合っている。
学園の人気者のローラ・パーマーには、どうやって時間やりくりしてるの?ってくらい裏の顔がいくつもある。

協力的、非協力的、謎すぎる登場人物が次々登場し、ローラと関係あるのかないのかわからない強烈サイドエピソードがひしめき、途中何を見せられてるのかわからなくなりながらも、FBI捜査官としての科学的根拠と個人的に大事にしているスピリチュアルな第六感を駆使しながら、クーパー捜査官がローラを殺害した犯人を探しだす、という内容で前半は終わる。

表向きには事件が解決したが、クーパーはとある理由からツインピークスに留まることになる。
そこから後半が始まるが、スピリチュアル要素強めの、狂気強めの、サスペンスというよりオカルト?に振り切ってさらにカオスとなる。

ツイン・ピークスを初めて知ってから旅行を決意するまで

初めて観たのは中学生の時のWOWOW放送
ただでさえ難解な展開を、姉の横でチラ見していただけなので理解できるはずもない。ただあのオープニングの音楽だけを覚えていた。

高校生になり、レンタルビデオ屋で見つけ最初の一本借りてしまったが最後。暇な高校生はバイト代注ぎ込んで一気見。
映画『ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間』ももちろんレンタル。
小説『ツイン・ピークス ローラの日記』も読んだ。

多感な時期にやばい世界を知ってしまった。

オープニングの音楽はもちろん、途中途中の泥臭い挿入歌、アメリカの田舎町、アメリカの高校生活。
当時の日本の流行(コギャル・カラオケ・ルーズソックス)とは全く違うファッション、生活スタイル。
チェリーパイ、ブラックコーヒー、机いっぱいのドーナツ。

子どもの頃、おもちゃのお城の中に入りたい、と考えるように、このツインピークスの街の住民になりたい・・・と思うようになった。

高校そして大学卒業。
社会人となり結婚もして、忙しい日々に追われツインピークスのことなどすっかり忘れていた30代後半、ネットサーフィン中に見つけてしまった・・・。

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ツイン・ピークス ゴールド・ボックス アンコール [DVD]

即ポチり、夫も巻き込んで夜な夜な鑑賞が始まる。
暇だった高校生時代とは違う。仕事や家事がある。
レンタルではないのだからゆっくり観ればいいのに、あと一話、あと一話だけ観たら寝よう、と言いながら結局あと三話くらい観てしまい、寝不足の日々。

初見の夫からの「この街の住人、みんな頭悪くない?」なんて声も気にならないくらい、ツインピークスの街は全く色褪せる事なく私を魅了し再びのめり込んでしまった。
何度も見ているのに、あのオープニングの音楽でアドレナリンが出てしまう。
ビニールに包まれたローラの遺体が上がった時はゾクゾクしてしまう。
ここの住人はみんな自由だ。

そこでふと思い出した。
クーパー捜査官がツインピークス滞在時に止まっていたホテル。
ローラの同級生であるオードリーホーンの父親がオーナーのあのGreat Northern Hotelが実在しているという話。
ちなみにローラは、その父親が経営するデパートの香水売り場でバイトしていた。
そして、その父親は実はローラを愛していて、そういう関係があった。
オードリーの兄ジョニーはローラが家庭教師をやっていた。

これだけで、かなり入り組んていることが分かってもらえると思う。

ツイン・ピークスのロケ地への旅の計画

話を戻して、高校生の頃、行ってみたい、泊まってみたい、あの廊下を歩いて、コーヒー飲んでみたいと何度も思ったあのホテル。

調べてみる。
アメリカシアトル東、スノコルミーという街に「Salish Lodge」という名前で存在した。
スノコルミーの滝
これいつもエンディングで見る滝!一話の終わりを感じて告げるあの滝。あの滝が出てくると
「あーあ、終わっちゃった」と思っていたあの滝。この滝もあるのか・・・。
行ってみたい、見てみたい、の気持ちが溢れすぎてついに爆発。

「いや、私行けるじゃん。もう大人なんだからいけばいいんんじゃん!」と思い即行動!

英語は大体話せる、結婚はしているけど子どもはおらず、自分のお給料は好きに使えるので、海外旅行行けるくらいの蓄えはあり。夫も夫で自分の趣味に没頭するタイプなので行き先を笑いつつ快諾してくれた。
お一人様行動は元々大好き、海外旅行でも抵抗なし。
というかツインピークスの旅に誘える友達なんておらず、いるとしたら姉だが、幼い子ども二人抱えた彼女にはとうぜん断られた。

ネックなのは仕事だけだが、休めそうな日程で目星をつけて、ツインピークス世代の上長に説明すると、「いいね!いいね!」と許可をえる。
いくらツインピークス好きでもスノコルミーには2泊3日で充分であろうと判断し、WEBからSalish Lodge2泊でブッキング。
3泊目はシアトル市内、帰りは直行便がなくサンフランシスコ経由であったので、せっかくならとサンフラン1泊で帰る旅程を組んだ。

さて、シアトルからSalish Lodgeまではどういくか?調べてもわからない。
おそらく交通手段は基本車なんだろう。
海外でレンタカー借りて運転するのは流石に怖い、と行き方を探しまくる。
複数のブログを読み漁ったところ、シアトルのダウンタウンからバスで行けるらしい。
ブログは古かったので、変わっているかもしれないとシアトル発の路線図・時刻表を検索するが見当たらない。
最悪、タクシーでなんとかなるか、と楽観的すぎる計画で進めることにした。

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ツイン・ピークスのロケ地への2泊3日の一人旅

初日

朝一、シアトルタコマ空港到着後、まずは電車でシアトル市内へ行く

とても都会で、だけど情緒が残った美しい街にうっとりする。ここはツインピークスとは違うなと思いながら、Toulist informationを訪ね、このホテルへ行くには何番のバスに乗れば良いかを訪ねる。
上品なお爺さんと綺麗な女性が笑顔で迎えてくれるが、バスの時刻表を調べてくれているうちに彼らの顔が曇ってくる。
バスないのかな、と不安に思っていると、
バスでこのホテルへ行くことはできるけど、バスを乗り継がなくてはならない。そして乗り継ぎのバスの間はとても離れているので、そのスーツケースを持っての移動は現実的ではない
と伝えられる。
マジかーと思いつつ、
「じゃあタクシーで行くしかないですね」
と伝え礼を述べて立ち去ろうとしたところ、
「タクシーはとても高いわよ。私の家がこのホテルのすぐ近くなので、仕事が終わる17時まで待ってくれてたら車で送っていける」
と言ってくれるではないか。

なんの迷いもなく、17時まで待って送ってもらうことにした。
シアトル観光は、スノコルミーの旅が終わった3日後を予定していたが計画変更。
スーツケースをToulist informationに預け、シアトルの街を観光することにした。
パイクプレイス・マーケットでクラムチャウダーを堪能したり、スターバックス1号店の前を通ったり(激混みで入る気にはならず)、Space Needleからシアトルの街を眺めたり、ニルヴァーナミュージアムへ行ったりと一日満喫したあとToulist informationへ戻る。
朝対応してくれたお姉さんとお爺さんが、仕事で疲れてるだろうに、嫌な顔ひとつせず出迎えてくれた。

電車で何駅か乗ったところに駐車場があり、そこに車を止めているとのこと。
日本と同じように、シアトル中心地は駐車場が高いのかな?そもそも駐車場がないのかな?など思いながらお姉さんと電車に揺られる。
お仕事柄か、人柄か、とても聞き取りやすい優しい英語をゆっくり話してくださる。
一人で海外旅行なんて、勇気があるわね、と褒められる。
スッピンでダッフルコートを着ている私は、アメリカ人から見たら実年齢より幼く見られているのかも。
タクシー代の出費は大変だろう、と不憫に思って、この申し出をしてくれたのかもしれない。
もうガッツリ働いている35歳なんです、と思い申し訳なさで胸いっぱい。

長野に住んでいるお嬢さんにマカロニチーズの仕送りをしているとのこと。
お礼に、日本帰国時にありったけのマカロニチーズを買って帰って長野にお届けしてあげたかった。

そんな話をしているうちにあっという間に駐車場到着、車で数分走ると、なんとあの保安官事務所を通り過ぎる
流石にちょっと止まってくださいなんて言えないので、横目で見ながら「後で絶対来よ」と心に誓う。
すぐにホテル到着し、Thank you しか言えないがありったけの感謝の気持ちを伝えて彼女とお別れする。

後に、この話をアメリカ在住経験のある友人に話したところ反応は真っ二つ。

あのホスピタリティのないアメリカ人を動かしたのは奇跡
アメリカで知らない人の車に乗るなんて正気の沙汰ではない

おそらく後者の反応が正しいので、絶対に真似はしないでもらいたい

さて、ついに来ましたSalish Lodge、いやGreat Northern Hotel

もう、見たままGreat Northern Hotelである。
昂る感情を抑えて中に入ると、あれ、ロビーが違う、あのパッカード製材所で切られたであろう丸太で作られたカウンターじゃない、部屋も違う、クーバーがヨガしたり、クーパーがオードリーに迫られたり、クーパーが銃で撃たれたりしたあの部屋とぜんぜん違う・・・。
素朴、というより高級感たっぷり。なんかお風呂場がガラス張りなんですけど。
あとで分かったが、ドラマでは外観だけ使われていたらしい。実際のSalish Lodgeは高級リゾートホテル。そういえばプールがあるようなこと書いてあった。
確認不足、リサーチ不足にも程があるけれど、まずは来れたことで大満足。
予定外のシアトル観光で足が疲れ切っていたのでガラス張りのお風呂に浸かり、ホテルのレストランでビールを飲んで一日を終える。

2日目

翌朝、朝食を済ませた後、早速スノコルミーの滝へ。
マイナスイオン出まくり、の滝を眺めしばし呆然。本当にやってきたんだなぁと実感が湧いてくる。
あれだけワクワク、ドキドキ、ゾクゾクしながら観ていたドラマの真ん前まで来れたのである。
滝の音を聞きながら、想像の世界にトリップし、心地よい空間で日々の疲れも癒される。

そこからてくてく歩いていると、今度はローラが殺害された電車の車両みたいなのが置いてある。え?ここ殺害現場?とパニックになる。
聞くところによると、ここに放置されているらしい。
ファンからしたらたまらないものが無防備に放置されている。

今度は、ロネット・ポランスキーが錯乱状態で渡っていた橋に到着。
テンション上がるが、周りには観光客も住民もおらず、なんか天気も薄暗くなってきて、本気で怖くなり早々に退散する。

次はローラたちが通っていたTwin Peaks High Schoolへ。
(実際の名前はMt. Si High School)
もちろん中には入れないので、周りから外観を眺める。

そしてついに、この旅のメイン・イベントDouble R Dinerへ!!
(実際の名前はTwede’s Cafe)
住民それぞれ、色々秘密抱えていて、バッタリあったら気まずい人もいるだろうに、なぜかみんなが集まるDouble R Diner。
あそこのカウンターでブラックコーヒー飲んでチェリーパイを食べたい!
暇な時にフラッと入ってコーヒー飲みながらぼーっと一服したい!(タバコ吸わないのに・・)
と憧れていたDouble R Diner。ついに到着。
賑わっている観光客向けの店ではなく、ファーストフードとも違う。
地元のダイナー!という雰囲気にビビリながらも勇気を出して店に入るが、色っぽいシェリーが迎えてくれるわけはなく、ちょっと怖そうな男性店員にちょっと緊張してしまいソファ席に座る。
(カウンターで話しかけられたら困る)
急激にお腹が空いてくる。そういえば朝から歩き続けている。
急に「そもそもチェリーパイって美味いのか?」と迷い始め、なぜかハンバーガーとコーラを頼んでしまった。

一日ツインピークスの街を堪能し、バスに揺られてホテルへ戻り、ホテル内の昨日とは別のレストランでビールを飲み、風の音を聴きながら就寝。

最終日

翌朝、出発前に今一度スノコルミーの滝へ向かい、目を閉じる。
高校生からの憧れだったこの街についに来れたこと、ツインピークスの街に一歩入って満喫できたこと、余韻に浸る。

長年、行きたかった場所に来れた。

大人になって出来なくなったこともあるけれど、その逆もあるんだなと。
年をとるのも悪くないかもしれないなどと考えながら、帰りはUberタクシーでシアトルへ戻る。

ツイン・ピークス the returnを観倒してから、また訪れたい!

著者
こみあさ
出身:神奈川
学歴:短大卒
職歴:消費者金融窓口、接骨院窓口など
趣味:90年代の洋画を観ること

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