水産仲卸業とは一体何をするところなのか?

仕事水産業

皆さんは毎日スーパーに並んでいる、鮮魚がどこからやってきているかご存知でしょうか?

漁師さんが直接スーパーに持ち込んでいるのか、スーパーの店員さんが市場に仕入れに行くのか?

上記2つも決して無いことはないのですが、多くの場合「水産仲卸業」という職種を中間に挟んで、様々な場所に届けられます。

この記事では私自身の経験を通じて、水産仲卸業というものについて触れていきたいと思います。
ただ一点、会社や地域によってローカルルールが変わってくるので、あくまで私が働いていた場所の話だと、念頭において頂けると幸いです。

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「仲卸の朝は早くない!?」

漁業関係というと、日が登る前から仕事を始めるといったイメージが強いと思いますが、私の働いていた先では入札(こちらは後で説明します。)に携わる人間でも7:00出社、それ以外は8:00出社でした。

こちらも地域によって変わってくると思いますが、漁師さんが漁から帰ってくるのが大体7:30くらいで、そこから、市場への水揚げが始まり、魚がタンクやカゴへとざっくり移されていきます。

「入札が始まる。」

魚が一通り分類されると、ここから入札が始まります。(私の地域では札入れと呼ばれていました。)

正直な話、私は下っ端で退職してしまったので、入札に関しては詳しいことはわかりませんが、知っている範囲内でお話ししたいと思います。

私が見た範囲では、各仲卸の人間が続々と集まってきて、投票のような形で入札は進められていました。
ここには、仲卸だけでなくスーパーの鮮魚担当者がいたり、魚屋さんのご主人もいたりします。

入札というと特殊なハンドサインや掛け声があるのでは?と思われる方も多いと思いますが、選挙の時のように紙に鉛筆で金額を書いて、木の箱に入れていきます

これに関しては地域差があると思いますので、参考程度にお考えください。
場合によっては20匹単位などで競り落とすこともあったり、8タンク分競り落としたりと、その時々でかなりのばらつきがあります。

「魚が作業場にやってくる。」

入札が終わると、トラックに乗って魚がやってきます。トラックがつくなりフォークリフト担当が作業しやすい場所にタンクを運んでくれます。

と、その前に簡単に作業場所の説明をしたいと思います。

作業場は大体150平方メートルくらいでした。そこに梯子のようなレールやパレットなどが設置されています。
パレットというと絵の具を使う時の道具が思いつくと思いますが、これは加工し終わった魚を発泡スチロールやトロ箱と呼ばれる魚を入れる容器に入れて積み上げていく、正方形の器財です。

フォークリフトで運べるようになっており、トラックへ積み込みやすくするという点と、出来上がった商品の数を確認するという点で欠かせないものになります。

このパレットにも無造作に商品を載せて良いわけではなく、6等分や8等分など様々な積み方があります。

「作業開始だ!」

先ほど触れた梯子のようなレールがここで初めて登場します。腰の高さにくる位置に固定されて、上の方から順にリレー形式で作業が始まります。
まずレールの上流にいる人間が発布スチロール部隊と魚をタンクから取り出す部隊に別れて、協力しながら発泡スチロールに魚を詰めていきます。
次に上から氷をかける部隊が、どんどん魚に氷を入れていきます。

魚は加工されながらレールを下っていきます。

次にパーチと呼ばれる、自社の社名が入ったフィルムのような物を魚に貼り付けます。
そして最後、最下流の人間が蓋とゴムをしてパレットに積み上げます。
パレットが満杯になったらリフトで運び出され、別の場所に移動され、ラップと呼ばれる60cm近くあるサランラップの親分のようなもので固定されます。

ここまでが大まかな流れです。

実はこの作業、会社の規模によっては市場内の邪魔にならない場所でも行われていたりします。

「実際、力仕事なの?」

はい、そうです。

基本的に男性は20kgから50kgくらいは普通に運びます。上記の仕事以外にも魚の選別作業があったり
するのですが、魚の選別は手慣れたパートの女性達のお仕事になります。女性達のこの作業のスピードがとんでもなく早く、男性は次々に魚を運ばなければなりません。
この時、カゴに15kg入っているのですが、三段重ねでどんどん運びます。繁忙期などの時期は四段重ねもありました。

「水産仲卸でよかったことは?」

市場から運ばれてくる魚の中には、傷がついていたり、サイズが規格外だったりして出荷できない魚が何匹か混じっています。普通のイカのタンクの中に高級なイカが混じったりとこれもよくある話です。
この魚達は価値の有無に関わらず商品にはなりません。

実はこれを持って帰ってもいいということになっているんです。(うちの会社だけかもしれませんが。)
朝とれたての魚が晩には食卓に並ぶので、とても美味しいしありがたかったです。

「仕事が終わる。」

全ての魚の商品化が終わると、パレットにまとめられた魚達をトラックのドライバーさんがやってきて、各地へと運んで行ってくれます。
この後、作業場の清掃などを行い一日が終了します。

これが私の経験談を踏まえた水産仲卸の話ですが、いかがでしたでしょうか?
職種的には軽作業の部類に入ると思うのですが、相手が生ものだけに気を使う場面や、作業着がすぐ生臭くなったりと、大変な側面は多いです。ですが、チームプレイで魚を出荷しきった後の爽快感はたまらないものがあります。
魚の種類に詳しくなったり、いろいろな食べ方を先輩に教えてもらったりと、なかなか楽しい職場でした。

日常生活で見かけることのない現場ですが、魚を食べる時に少しでも思い出して頂けると嬉しいです。

著者
ハンドルネーム:MY
出身:東京
学歴:駒澤大学経営学部卒
職歴:水産業、飲食業、など
趣味:音楽鑑賞

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