「友達の子どもはあんなこともできるのに、うちの子は……」
「言葉の遅れがあるから1歳半健診でひっかかるかもしれない」
このようにわが子の発達に悩んだことはないでしょうか?
私の息子は1歳半健診のチェック項目が一つもできず、5歳の現在、保育園と併用して療育に通っています。
明らかに他の子とは違い、発達が遅れている様子に「友達の子と同じ小学校には通えない」と落ち込む時期もありましたが、今では、苦手なことはあるけれど小学校通常級に通えそうだと思うくらい成長しました。
その成長は、息子の発達が遅咲きタイプだったという個性もありますが、3歳という早期から療育に通った影響もあると感じています。
本記事では、息子が療育につながるまでの過程や、療育内容、息子の成長過程についてお伝えしています。
「わが子の発達の遅れに落ち込んでいるけれど、何をしていいかわからない」という親御さんに、療育に通って成長した息子の例を通して、前向きに育児に向き合うきっかけになればと思っています。
なにもできなかった1歳半健診
息子は妊娠39週に、3000g越えとトラブルなく誕生。
その後、首すわり、おすわり、歩き始めは月齢目安通りで、よく食べ、よく寝るので順調に成長している、そう思っていました。
1歳半健診が近づき問診票の確認をすると、「名前を呼んでも振り向かない」項目で「いいえ」がつき、「あれ?普通は振り向くの?」と不安になります。
今思えば、親にも寄らずに一人で淡々とおもちゃで遊び、人に全く興味がない様子でしたが、当時は初めての子どもであったため疑問をもちませんでした。
1歳半健診で何をするか調べると、「つみきを積む」「わんわんどれ?で指さしをする」「一語文がでている」という確認をされることを知りましたが、息子はどれもしたことがありません。
言葉がでていないどころか、「ゴミ、ポイして」などの簡単な指示を理解している感じもありません。親の言うことなど聞こえていないように無視。
「1歳半健診 できない」と調べると発達障害についての情報が表示され、「息子は発達障害なのかも」と思い、不安から検索魔となり、落ち込む日々を過ごしました。
親のメンタルがどん底の中で迎えた1歳半健診では、おとなしく抱っこされていたけれど指さしや発語がないままで、保健師には「様子見しましょう」と言われました。
ですが、明らかに他の子と違う息子を現状のまま様子見することに焦りがあり、どこかに相談し、何か行動しないと親のメンタルがもちません。
検索魔になっているときに知った市の療育センターの診察を受けたい、療育に通いたいと保健師に相談しました。
療育に通うまでの経過
療育とは、障害のある子の発達を促し、自立を目指す医療や保育のことです。
療育に通うためには医療機関受診や自治体の手続きが必要で、特に医療機関の予約は数ヵ月待ちとなることも多く、希望してもすぐには通えないことが多いです。
自治体によって手続きは違いますが、息子が療育に通うまでの経過をお伝えします。
私の住む自治体では、市の療育センターを受診するには保育園や医療機関、相談施設いずれかの紹介が必要です。
1歳半健診で療育センターを受診したい旨を相談すると市の相談センターを紹介され、また、かかりつけ小児科クリニックで発達相談を行っていることを知り、どちらも健診のすぐあとに予約の電話をしました。
小児科クリニックの発達相談は2か月後にとれ、「1歳半だしまだわからないけど、親が不安なら」と療育センターを受診するために紹介状を書いてもらいました。
相談センターはクリニックの1か月後に行きましたが、すでに紹介状が手もとにあるため、話を聞いてもらうだけで特に有益なことはなく終わりました。
紹介状を手に入れて予約電話をした4か月後、2歳になってようやく療育センター受診です。
医師は、息子の様子を観察し、親の困りごとや心配事を聞いてくれる診察方法で、息子は発達障害かと聞くと「気質はあるが、まだ小さいから診断はできない。」と言われました。
2歳直前に1語文がようやくでてきた状態で言葉の遅れは明らかですが、他害や脱走などの困り事はなく、療育センターにつながり相談先ができたことで私も安心したため、診察を4か月に1回受けながら、療育には通わずに様子見をすることにしました。
ですが、3歳になり、ようやく2語文がでてもコミュニケーションは難しく、話しかけても返事をしない状態のため療育に通うことに決めます。
3歳1ヵ月の療育センター診察日、医師に「自閉症の可能性」ということで意見書を記入してもらい、療育に通うために必要である通所受給証(療育など福祉サービスを利用するために在住市町村から交付される証明書)の交付手続きを市役所で行い、2週間ほどで交付されました。
同時に、市役所でもらった民間の療育先リストを参考に5か所ほど見学に行き、3歳2か月から個別療育と10人の集団療育の計2か所に保育園と合わせて通うことにしました。
子どもの成長はあっという間なので、子どもの発達の遅れに落ち込み、焦りを感じているときの数週間、数ヵ月の待ち時間はとてつもなく長く感じます。
息子は2歳で療育センターを受診してつながりを作っていたおかげで、3歳で療育を希望した1ヵ月後に通い始めることができたため、1歳半健診で様子見をしなくてよかったと私は思っています。
療育の活動内容とは?
「早期療育がよい」と聞きますが、療育ではなにをしているのかご存じですか?
「なにか発達によい特別なトレーニングをしているのでは?」と思っている方もいるのではないでしょうか?
息子は療育に通って3年目となりますが、活動内容自体は保育園や幼稚園と大きくかわりません。
例えば、息子の通う集団療育は
1.あさのかい
2.リトミック(日によって違う)
3.製作活動(日によって違う)
4.おやつ
5.おわりのかい
というスケジュールがたてられています。
リトミックではジャンボリミッキーに合わせて踊ったり、製作活動ではうちわを作ったりと保育園でもあるような活動をしており、特別な活動はしていません。
ですが、手厚さが違います。
子ども10人という小集団を先生6人ほどでみているので、活動がわからない様子があればサポートをしたり、活動をしたくない子も1回だけはやってみようと声をかけたりしてくれます。人手が多いので子どもが脱走や癇癪をおこしても目が届きます。
言葉の発達が遅い子も多いため、活動内容はホワイトボードに記載され、絵カードや身振り手振りを使いながら活動内容を説明するなど保育園よりも視覚支援が充実した環境です。
そうした手厚い保育環境の中で少しずつできる活動を増やし、療育という小集団から保育園や幼稚園という大きな集団でもできる活動を増やすことを目的としています。
息子は療育に通い始めたころは指示を聞いておらず、あさのかいでウロウロすることが多かったのですが、療育先では保育者がマンツーマンで横に付き添ってくれたおかげで、徐々にイスに座って話を聞けるようになり、その語、保育園でも座れるようになっていきました。
結局はその子のペースで成長するため、療育に通ったら魔法のように成長するわけではありません。
ですが、手厚い保育環境のなかだからこそ、本人のできることが増え、自信につながることを実感しています。
今回紹介している内容は息子の療育先の活動ですが、療育先によっても活動内容や特色は異なるため、様々な療育事業所を見学し、わが子に会う場所を探すのがおすすめです。
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3歳の成長経過
3歳2か月から個別療育と集団療育に通い始めた息子は、当時2語文が少しだけでていた状態でした。
それまでは絵本を読んでも興味を示さす聞いてくれませんでしたが、たまたま好きな絵本ができたので読み聞かせをするうちに、語彙が一気に増えました。
嬉しいことではありますが、絵本の文章を丸暗記して一人で話していたり、親との会話も絵本の文章を使って答えたりと、意思疎通は少しずつできるようになったものの不自然な印象に……。
多数の子は他者との会話から言葉を学びますが、息子の場合は絵本から学んでいたのでコミュニケーションが自然にならなかったのでしょう。
語彙が増える=コミュニケーションが上手にとれる、ということではないのだとがっかりした覚えがあります。
ただ、3歳台は発語だけでなく言葉の理解も成長して、指示が理解できるようになったため集団行動をできる気配をみせてきました。
3歳1か月で迎えた親子製作をする保育参観日は、一人で教室内をウロウロし、結局親だけで製作したという暗黒の参観日となりましたが、3歳6か月で迎えた運動会は親子かけっこをなんとかできて成長をとても感じました。
一方で、クラスメートが親と上手におしゃべりしているのを聞いて羨ましく、私は負の感情でいっぱいでした。
療育先では、人の話を聞く、イスに座る、返事をする、息子とままごと遊びなどを通してたくさん話しかけ人に興味を向けて、「もっと話したい」と思わせるように関わっていただきました。
3歳台は大きく成長した一方、他の子との差が大きく親のメンタル的にはしんどい時期となり、療育先に相談したり、時には愚痴を聞いてもらったりととても助けられました。
4歳の成長経過
3歳時に比べて保育園の集団行動が格段にできるようになり、運動会や音楽会などの行事もボーっとしているときはあるものの困り事はなくなりました。
語彙もますます増え、言葉の遅れ自体は4歳半ごろにはなくなってきた印象です。
ですが、コミュニケーション能力が上がってはいるけれど他の子同様とはいかず、大人との会話は少しできても子ども同士での会話は難しい様子でした。
療育先では、当番をあえてしてもらって自信につなげ、大人とお絵描きやブロックを通して一緒に会話しながら遊べるように関わってもらいました。
5歳の成長経過
コミュニケーションは他の子よりは拙いものの自分の意思を説明できるようになってきて、コミュニケーション能力の向上を感じています。
他の子とも少し話せるようになってきて、「あそぼー」「いいよ、あっちにいこ」という単純な会話をするようになりました。5歳でようやく。
集団行動自体は問題ないけれど、「みんな、〇〇するよ」などの一斉指示が入りにくく、ぼーっとして動かないことがあるのが気になるところです。
小学校就学に向けて
・コミュニケーションが苦手(子ども同士で会話して遊ぶことを年相応にはできてない)
・一斉指示で動けるか。周りをみて行動できるか(今は周りを見ずにボーっとしている)
が課題と考えています。
療育先でも上記課題の共有、相談をしていますが、まだまだ伸びしろはあり、現時点では小学校通常級就学でよいのでは?と言われています。
普通級か支援級か、という正解のない悩みを相談できる場所があることは心強く、息子ができることが増える度に、療育の効果を感じています。
まとめ
1歳半健診では「なぜわが子だけなんにもできないのか」と絶望しましたが、5歳の今では発達はデコボコしているけれど、日々成長を感じる日々を過ごしています。
ここまで成長できたのは、早期に療育につながって発達を促せたこと、療育先という相談先があることで親のメンタルが安定し、息子と穏やかに関われたことが大きいと感じています。
今回は息子の成長記録を紹介しましたが、子どもの発達は各々違うので直接参考にはならないと思います。
ですが、わが子の発達に悩む親がほかにもいるということ、発達が遅れていると気づいたときは絶望するけれど、その子供なりに成長するのだと感じていただければ幸いです。
三浦ゆい
出身:神奈川県
学歴:大学卒業
職歴:看護師
趣味:漫画を読む、ランニング
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