2007年3月、私がSNS「mixi」上に立ち上げた「(仮称)歴史散歩サークル」は、歴史好きの仲間たちと主に歴史的な史跡を訪れ、その周辺を散策するという活動を続けてきました。
設立から17年が経ち、多くの参加者と共に、数多くの歴史的な発見を中心として貴重な経験を重ねてきたこのサークル。
今回は、なぜこのサークルが長きにわたって続けられてきたのか、そして私自身がこの運営を通じて感じたことについてお話ししたいと思います。
歴史散歩サークルの誕生からこれまでの経緯
サークル設立の背景
2007年当時、大変人気があり稼働率が高かったSNSの「mixi」で、私はさまざまな人と交流し始めていました。
会社の中での人間関係が弱かった私は、知り合いも少なかったため、mixiにおいてさまざまなイベントやオフ会に参加することによって徐々に交流が広まっていきました。
そんな時期に、私の中で「自分でも何かイベントを開催し、より深い交流をしていきたい」という欲求が強くなってきました。
しかし、自分ができることと言っても限られてきます。
当時の私は特に取り柄がないと言っても過言ではなく、趣味に乏しかったのですが、強いて挙げれば歴史に多少の興味がある程度でした。
ただ、それを少しでも生かし、「歴史的な史跡を巡る散歩の主催程度であればできる!」という妙な確信が芽生えました。
幸い、当時から仲が良かった友人が別のSNSで「散歩コミュ」を運営していたことがあり、そのノウハウを多少なりともわかっていたつもりでした。
そこで、その友人も誘って、2007年3月13日にサークルを立ち上げました。
サークルの名前を「(仮称)歴史散歩サークル」とした理由は、主に歴史的な史跡を巡る散歩にしたかったからです。
ただ、この「(仮称)」という名については、後で表題を考えようと思ったのですが、特段思いつかず、とりあえず「(仮称)」としたのです。
そして、それを今さら変更するのも面倒なので、17年経った今でも「(仮称)」のままにしています。
参加していただいている方も我コミュを「(仮称)」と呼んで親しんでいただいております。
17年間の主な活動内容
私たちのサークルの基本的なコンセプトは、「首都圏の史跡や博物館を中心に、散歩しながら見て歩こう!」というものです。
これを目的に、17年間にわたってさまざまな場所を訪れてきました。
これまでに訪れた地域は、東京都内、神奈川県、静岡県(三島市・韮山町)、山梨県(大月市)、埼玉県、千葉県、群馬県、栃木県、茨城県と、多岐にわたります。
特に、東京都内と神奈川県周辺のイベント回数が圧倒的に多いです。
総イベント数は約280回に達し、2020年から2022年初頭までの約2年ほどは、コロナ禍の影響で開催回数が少なかった時期もありましたが、基本的には1か月に1~2回の頻度で開催しています。
以下に、主な訪問場所を列挙します。
東京都内
谷中(谷中霊園、谷中銀座)
銀座(江戸時代から近現代の歴史、建築)
上野~浅草(渋沢栄一の足跡巡り)
上野東京博物館散策(博物館内・庭園・史跡)
新宿ダンジョン(新宿地下街探検)
日比谷公園(公園内のみの散歩)
多摩ニュータウン周辺(多摩丘陵の段差を味わう)
日野(高幡不動・土方歳三、我コミュ第1回開催)
東京駅周辺(駅内だけの散歩もあり、八重洲~丸の内周遊散歩もあり)
神奈川県内
横浜みなとみらい~山下公園・港の見える丘公園
金沢八景と文庫、八景島(鎌倉幕府関連史跡)
鶴見周辺散歩(生麦事件の場所、総持寺など)
横浜市日吉(慶応大学関連)
横須賀と浦賀(日本近代化の原点、猿島巡りなども)
江ノ電沿線(七里ガ浜、稲村ケ崎)
埼玉県
川口(荒川を渡り赤羽まで)
中山道の宿場町(蕨、鴻巣)
川越小江戸散歩
日光街道の宿場町(草加、幸手)
千葉県
浦安(古民家が残るエリア)
市川・船橋・習志野
流山(新選組・近藤勇捕縛の地)
鋸山(日本寺)
茨城県
筑波山の麓(歴史と田園風景と日本酒が美味しい酒倉と)
真壁(ひな祭りを楽しむ)
その他
山梨県:大月(猿橋など)
静岡県:三島・韮山(源頼朝配流地蛭ヶ小島等)
栃木県:日光と栃木市(小江戸の風景)
群馬県:館林(家康の重臣・榊原康政の所領)
茨城県:筑波山の麓(歴史と田園風景と日本酒が美味しい酒倉と)
これ以外にも、以下のような一つの場所に特化しない散歩も行っています。
・箱根駅伝のコース散歩
読売新聞社前から蒲田まで、箱根駅伝のコースをひたすら歩く散歩です。
・銀座線周遊散歩
新橋、神田、浅草などの主な駅で降りて、散歩しながら銀座線を利用するコースです。
・東京モノレール周遊散歩
浜松町から羽田空港までの東京モノレールを利用し、途中下車を楽しみながら散歩します。
基本的には歴史散歩を中心に活動していますが、歴史関連にとどまらず、景色の良い場所や食べ歩きが楽しめるスポットにも足を延ばしています。
現在の状況
2024年7月時点で、コミュの総参加者数は2098名です。
もちろん、すべての方がイベントに参加するわけではありませんが、一度のイベントで定員を大抵18〜25名設けておりますが、最近では、募集をするとすぐに定員に達してしまい、参加したいのにできない人も出てきてしまいました。
参加者の年齢構成は、50代から60代が多く、男女比はほぼ半々です。
17年前は30代後半から40代前半の参加者が多かったのですが、主宰である私や他のコミュ幹部の年齢が上昇するにつれて、参加者の平均年齢も上昇しています。
年齢構成がこのようになっている理由として、mixiを恒常的に活用している方の高齢化が考えられます。
2007年当時は20代や30代の方が多かったですが、FacebookやInstagram、X(旧Twitter)、LINEなどの他のSNSに移行することで、mixiは衰退しました。その結果、若い人は離れ、2000年代中盤に30代だった層が現在も利用し続けているケースが多いようです。
また、子育てや仕事が一段落した60代前後の人々が、時間に余裕ができ、mixiのイベントに参加するようになったことも影響しています。
加えて、比較的安価で済む「散歩」というイベントが、時代背景から親しまれるようになったことも影響しています。
最近では有料の散歩コミュニティも増えていますが、私たちは無償でイベントを運営しています。これはmixiで運営しているコミュニティとして譲れない一線だと考えているからです。
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歴史散歩サークルを続けて学んだこと、得られたもの
17年間「歴史散歩サークル」を運営してきたことで、私は多くのことを学び、得ることができました。この経験は私の人生に大きな収穫をもたらし、潤いを与えてくれたと感じています。
自らの学びと成長
2007年にコミュニティを立ち上げた当初、私は参加者の皆さんを散歩コースに沿って案内するスタイルではなく、「集まった後、皆さんと適当にコースに沿って歩く」という形式で進めていました。
歴史の話を交えながら、のんびり歩くという感じでしたが、参加者が増えるにつれて、「これではいけない」と思い、コースの下見を行い、先頭を歩いて皆さんを案内するスタイルに変更しました。
イベントを開催するにあたっての準備、当日の運営、フィードバックについて、以下の流れをまとめてみました。
・散歩イベントを行いたい場所を考案し、その土地の名所や史跡、歴史についてネットなどで下調べ。
・コースの下見を実施。(最低でも1回、多い場合は2〜3回行うこともあり)
・mixiの掲示板にイベントを立て、参加者を募る。
・イベント当日の集客(人数確認)。
・イベントの実施。
・終了後、フィードバックを行う。
以上の流れで、1つのイベントを実施するだけでも、かなりの労力と知恵を必要とします。しかし、こうした作業を繰り返す中で、以下の能力と知識が身につきました。
・土地の歴史に関する知識の向上
・得られた知識をまとめ(インプット)、それを参加者に説明する能力(アウトプット)の向上
・参加者との交流を通じて対人関係能力の向上
こうした経験は決して無駄ではなく、非常に有益であると感じています。
コミュニティの価値
コミュニティを運営してきて改めて感じたのは、自らの学びや能力の向上以上に、サポートしていただく方々や、大勢の参加者への感謝の気持ちです。
参加者がいなければ、当然ながら当サークルがコミュニティとして、またイベントとして成り立つことはありません。皆さんのご協力と参加があってこそ、コミュニティは成り立ち、成功を収めることができるのです。
時折、参加者から感謝の言葉をいただくことがあります。
例えば、「こういう企画をしていただき嬉しい」「日常のストレス発散になります」「多くの人と出会えて交流できて楽しく過ごせました」といった声を聞くと、運営していて本当に良かったと感じます。
そして、大勢の方が参加してくださるおかげで、私自身も多くの人と知り合い、時には友人として交流する機会が増えました。
このコミュニティの運営は、当然ながら私一人では成り立ちません。
かつて別のSNSで散歩サークルを運営していた方が、コミュニティ立ち上げと同時に副管理人として参加してくださり、また他にも2名の方が幹部としてサポートしてくださっています。
さらに、私だけでなく、この3名の方々にもイベントを行っていただいています。
そして、過去にもサポートをしていただいた方がいます。今は離脱していますが、こういったサポートの方々のお蔭で、このコミュニティは成り立っているのです。
私一人では到底なし得なかったことでしょう。
私はこのコミュニティの「管理人」として活動していますが、決して「自分のものだ」とは思っていません。
かつてはそのように考えていた時期もありましたが、今では「このコミュニティは皆様のもの。
私は単なる管理人に過ぎない」と感じています。
歴史散歩サークルの今後の展開と希望
2024年で17年目となるこの(仮称)歴史散歩サークルを今後どうしていくかについて、いくつかのポイントを考えています。
・収益化の方法
17年間で身につけたスキルを収益化し、将来的に日の目を見たいという思いがあります。ただし、収益化に対しては抵抗感もあります。特に、コミュニティの有償化は参加者にとっての受け入れられるか不安があります。
・体力の問題
自分も高年齢化するため、イベントを実施する体力が持続できるか心配です。
・イベントの深度化
イベントの内容をさらに深める方法について考えています。
収益化については非常に悩ましいものがあります。よって、現在ではこのように考えています。
収益化に・収益化に関する考え
(仮称)歴史散歩サークルは、mixiのコミュニティとして無償参加を貫きたいと考えています。
このコミュニティはmixi参加者の心の拠り所として、永遠に無償で続けるのが私の願いです。
収益化に関しては、別途、有償のサークルをmixi以外の場所で立ち上げることを検討しています。
未来の方向性
やはり既存のコミュニティは無償のまま維持し、自分のスキルを収益化するためには新たに別のサークルを立ち上げる方が良いと考えています。
その一方で、(仮称)歴史散歩サークルの改善点や今後の展望、計画などについても考えたいと思います。
参加する年齢層の幅を広げる
現在の参加者は私と同年代の50代から60代がほとんどで、40代以下の若い世代がほとんどいません。価値観が多様化し、少子化が進む中で若年層をどう取り込むかは、コミュニティを継続する上での大きな課題だと考えています。
コミュニティ運営の体験機会を増やす
現在、私を含む4名でコミュニティを運営していますが、各イベントの主催・運営はかなりの負担です。できれば、歴史や散歩が好きで、人とコミュニケーションを取るのが得意な方に、運営に参加していただけると助かります。
そうした方が1人でも増えるよう、お声掛けなどを行っていきます。
より多くの場所を訪れる
現在、私たちのコミュニティは東京都・神奈川県を中心とした首都圏および関東近県でのイベント開催が主となっていますが、もう少し遠くの場所での開催も考えてみても良いのではないでしょうか。
例えば、長野県、福島県、静岡県などであれば、日帰りや1泊2日のイベントも可能です。
また、歴史的名所にこだわらず、人気スポットやその周辺を訪れることも考えていいと思います。
より多様な場所でイベントを行うことで、幅広い年齢層の参加者を獲得できるのではないかと考えています。
まとめ
以上、私が主宰する(仮称)歴史散歩サークルについてお話ししてまいりました。
17年間という長きにわたりこのコミュニティを運営できたのは、ひとえに協力してくださった方々や、参加していただいた皆様のおかげです。その方々の想いに支えられ、私がこのコミュニティを継続するための努力を重ねてこれたと深く感じています。
今後は、課題と展望をしっかりと踏まえ、新たな18年目を迎え、さらに20年、30年と年月を重ねてこのコミュニティを続けていけるよう努めてまいります。
著者
ハンドルネーム:エーショー西郷
出身:神奈川
学歴:高校卒業
職歴:国家公務員
趣味:旅行、散歩、歴史研究、写真撮影
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