冷蔵庫を買い替えたとき、故障してから動くのでは遅いと思い知らされました。
だったら、いつ頃から考えるべきなのか?
その目安として参考にされているのが、製品寿命です。
「冷蔵庫は10年」
この文句を最初に聞いたのはいつ、どこ、だれからだったか、まったく思い出せませんが、
ずっとそう信じてきました。
寿命という言葉は人間で使われるケースが多いですよね。
2023年の日本人の平均寿命は、男性が81歳で女性が87歳とか。
ですから、冷蔵庫も10年前後には使えなくなるかもしれないという認識でいました。
でも、よくよく考えてみるとおかしいですよね。
その10年というのは、どこがスタートなの?
製品が完成してから。消費者が買ってから。電源を入れてから。運転が開始してから。
もし、途中で止めたら寿命は延びるの?
そもそも、どうやって10年という数字を算出したの?
この疑問を探るため、家電の寿命について触れているサイトをいくつか見ましたが、国や団体などで定めたルールのようなものは特にないようですね。
消費動向調査の平均使用年数や補修用性能部品の保有期間などから推測して広まったように思います。
消費動向調査の平均使用年数とは?
消費動向調査は、国民の暮らしや消費傾向を把握するため、内閣府が毎年、月に1回行っている世論調査です。
その調査の質問項目に、主要耐久消費財の買替え状況があります。
この質問は、毎月ではなく、年に1回、3月に実施しているようです。
2023年3月の調査対象は、全国から任意で選ばれた8400 世帯(3023世帯は単身世帯)となります。このうち、有効な回答が得られたのは6577世帯(依頼に対して約8割)。
これがまず大前提。
買替え状況の主要耐久消費財の対象は11点
1.電気冷蔵庫
2.電気洗濯機
3.電気掃除機
4.ルームエアコン
5.カラーテレビ
6.ビデオカメラ
7.デジタルカメラ
8.パソコン
9.光ディスクプレーヤー・レコーダー(DVD、ブルーレイ)
10.携帯電話(スマートフォン他)
11.乗用車
6~7についてはなんでこれを調査対象に?
主要って感じがしません。特にビデオカメラの普及率は40%を切っていますし。
これを入れるなら、電子レンジや炊飯器のほうが知りたかったかな。
これらに対して、2022年4月~2023年3月までの1年間に買い替えをしたことがあるか?
あると答えた世帯に、さらに質問を二つ。
1.買い替え前に使っていたものの使用年数
2.買い替え理由(故障、新製品がほしかった、引っ越しのついで、その他の4択)
不使用時間・日数・年数は“除外”と記載されていないので、おそらく最初に使い始めてから処分するまでの期間を使用年数、と受け取ってみんな回答しているのでしょう。
その世帯ごとの使用年数の合計を、買い替えをしたことがあると答えた世帯数で割ったのが平均使用年数です。
消費動向調査で公表されている平均使用年数は、故障以外の買い替え理由のデータも含んで計算しています。
ですから、この数字だけを見て製品寿命(故障)と決めつけてしまうのは強引な気がします。
それにしても、冷蔵庫とエアコンの買い替え理由。
どちらも故障が半数以上を占めているのは、ちょっと驚きです。
どちらも交換に手間や時間がかかり、わずか1週間でもないと不便だと思うのですが。
補修用性能部品の保有期間とは?
景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)に基づいて作成された家電業界独自のルールに、公正競争規約があります。
その中の一つ、製造業表示規約の第5条『カタログの必要表示事項』によると、補修用性能部品の保有期間について、別表3で定めた年数を下回ることはできない、とされています。
補修用性能部品とは修理で必要な予備の部品。
保有期間はその部品を在庫としてとっておく期間。
パソコンが起動しなくなったときのことを思い出しました。
原因は電源ユニット。そこを突き止めたのはよかったが、生産終了しているらしく探せど探せど新品は見つからず、中古に手を出した記憶があります。
製品の修理は一種の延命装置。
人間でいうところの治療にあたります。
補修用性能部品がないのは薬がないのと似たようなもので、補修用性能部品の保有期間が過ぎるのは、製品寿命といっても過言ではないのかもしれません。
今更ですが、補修用性能部品の保有期間って結構重要ですよね。
種類に関係なく。
別表3で警告している製品以外の製品についても、購入時、意識する必要があるのではないでしょうか。
スポンサーリンク
減価償却資産の耐用年数とは?
事業主が確定申告をするとき用いられるデータで、本来、普通のサラリーマンや専業主婦が気にするようなことではないのですが、製品寿命を知るうえで一つの目安になっているようです。
確定申告について簡単に説明すると、所得税などの税金を納めるときに必要な手続きを指します。
そのときの添付資料として、損益計算書の提出が求められるわけですが、その中に減価償却費という項目があります。
減価償却費の目的は、事業のために購入した資産を使用可能期間に応じた必要経費として分割することです。
資産の価値(寿命)は、建物や機械、自動車、家具、電化製品など種類によって違います。5、6年でダメになるものもあれば、10年以上持つものもあります。
それを財務省令、ようするに国で定めたのが耐用年数です。
耐用年数が過ぎるのは、資産の価値が無くなることを意味します。新品ではなく中古品、いつ壊れてもおかしくない製品。
ただ、表を見るとかなり低めに設定されているもよう。
これいいなあと思っていた冷蔵庫が6年しか持たないと聞くと、ちょっと買うのを躊躇しそうです。
設計上の標準使用期間とは?
電気用品の技術上の基準を定める省令の一部改正により、2009年4月1日から施行された長期使用製品安全表示制度。
目的は、経年劣化による事故が多い製品について、標準使用期間や注意事項の表示を義務付けること。
対象の製品は6種類
・エアコン
・2槽式/全自動洗濯機
・扇風機
・換気扇
・ブラウン管テレビ(現在、製造している会社はあるのか?)
どうも表示しているのはこれだけではないようですね。
たとえば、石油ファンヒーター。
うちのには8年と記載されています。ただこの数字は年間燃焼時間や年間燃焼回数を元に算出された数字なので、使い方により前後する可能性が高いです。また、8年後の点検や交換を推奨しています。これこそまさにリスクを見据えた製品寿命。
ちなみに、このファンヒーターの部品保有期間は6年となっています。
不使用期間を作らないための家電買い替えのタイミング
消費動向調査の平均使用年数は、先ほどもいったように、故障以外の理由も含んでいるので、製品寿命を把握するうえではあまり適しません。
耐用年数は、国で決めたもののかなりざっくりとした目安。携帯電話は10年のようですが、あまりピンときません。
もっとも信頼の置けるのが設計上の標準使用期間ですが、公表は一部の製品に限られています。
よって、補修用性能部品の保有期間で判断するのが理想的なのではないかと思われます。
ただ、これはあくまで修理ができなくなることを示唆しているだけなので、そこから1、2年足した数字が製品寿命。標準使用期間もそんな感じで設定しているように見受けられます。
いずれにしても、最も重要なのはカタログや取説(取扱説明書)にしっかりと目を通すことです。
寿命という言葉はあまり使われていませんが、補修用性能部品の保有期間については必ずといっていいほど書いてあります。もし、記載がないようなら、その製品の購入は控えたほうがいいでしょう。
コメント