はじめに
パソコンやスマートフォンが日常となった現代社会で、皆さんは毎日どれくらい画面を見ていますか。電車の中でも、多くの人が下を向いて携帯を眺めています。
そんな中、首こりや肩こりを放置している人はいないでしょうか。
私の夫が十数年前に経験した、首こりから始まりうつ病に至るまでの経験と、その克服への道のりをお伝えしたいと思います。
症状の進行と発見
夫はパソコンを使う仕事に従事しており、以前から首こりや肩こり、腰痛に悩んでいました。毎日の残業や、休日出勤も多く、休む間もなく働いていた日々。
そんな生活の中で、徐々に体の不調が表面化していきました。
症状が深刻化したのは、ある日の夜のことでした。
眉間にしわを寄せて帰宅した夫は、これまでに経験したことのないような頭痛と顔の痛みを訴えました。鎮痛剤で様子を見ていましたが、その後も症状は改善せず、一か月後には30分ごとに目が覚めるほどの睡眠障害が現れました。
夜中に何度も目が覚める夫の様子を見ていると、私も不安で眠れない日々が続きました。
そんな中、夫の症状は急速に悪化していきました。慢性的な寝不足による疲労感、持続的な頭痛、顔面痛に加え、肩こりと首こりが一層酷くなり、食事ものどを通らなくなってきました。
更に気がかりだったのは、夫の様子が明らかに変わってきたことです。普段は家族との会話を楽しみ、子供たちと遊ぶことが大好きだった夫が、徐々に人との会話を避けるようになり、目も合わせなくなりました。
「大丈夫?」と声をかけても、小さくうなずくだけで、ため息ばかりつく日々が続きました。
2週間ほど様子を見ましたが、歩く時のふらつきも出てきたため、思い切って心療内科を受診することにしました。
診断と休職
心療内科では、詳しい問診の後、睡眠障害によるうつ病と診断されました。
医師からは、まずは2週間の休養が必要との診断。精神安定剤と睡眠導入剤が処方され、しばらく様子を見ることになりました。
しかし、当初処方された薬が強すぎたようで、一日中ぼーっとした状態が続き、声のどもりも出るようになりました。
これには私も心配になり、再度受診して薬を調整してもらいました。
医師からは日光浴やウォーキングも推奨され、できる範囲で実践していきましたが、結局3か月間の休職を取ることになりました。
家族としての苦悩
当時、子供は1歳と3歳。まだ手のかかる年齢でした。
無職だった私は、先行きの不安に押しつぶされそうでした。
夫の収入が途絶え、貯金を切り崩しながらの生活。
子供たちにも「お父さんは少し具合が悪いの」と説明するのが精一杯でした。
特に辛かったのは、2か月目の診察で「いつ復帰できますか」と医師に尋ねた際のことです。「あなたがご主人を急かすことが症状を悪化させている」と指摘され、その場で号泣してしまいました。
自責の念に苛まれる日々が続きましたが、悩んでも解決にはならないと考え、夫の回復を最優先することに決めました。
原因究明と対策
回復への転機となったのは、3年かけて様々な文献を調べる中で出会った、首こりと自律神経系の関係について記された本でした。
首こりによって自律神経の交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、それが顔面痛を引き起こす可能性があることを知りました。
著者の医師に診察してもらう機会もあり、首こりが症状の原因の一つである可能性を指摘されました。
具体的な改善策
以下の対策を地道に実践していきました。
・仕事中の定期的な首と肩のストレッチ
デスクワーク中、1時間に1度は必ず立ち上がり、首と肩を優しく動かすことを習慣づけました。
・首の保温(ストールやマフラーの活用)
エアコンの風が直接首に当たらないよう、オフィスでも自宅でも、薄手のストールやマフラーで首を保温することを心がけました。特に寒い季節は、就寝時も首元を温かく保つよう工夫しました。
・目のホットタオル療法
就寝前には必ず蒸しタオルで目を温めました。これにより、目の疲れが軽減されただけでなく、首や肩の緊張もほぐれ、安眠にも効果がありました。
・40度前後のぬるめの入浴で血行促進
熱いお湯は避け、40度前後のぬるめのお湯に20分ほどゆっくりつかることで、全身の血行を促進。肩や首に優しくお湯をかけることも効果的でした。
・ウォーキングと電気治療
近くの治療院で電気治療を受けながら、はじめは5分程度からウォーキングに挑戦。運動は無理せず、体調に合わせて調整しました。現在は週末1時間以上ウォーキングしています
・日光浴によるビタミンD摂取
朝の時間帯を中心に、15分程度の日光浴を心がけました。天気の良い日は、ベランダや近所の公園で、顔や手を太陽に当てる時間を作りました。
現在の状況と回復
気圧の変化や仕事量による体調の波は今でもありますが、少しずつ確実に改善の兆しが見えてきました。
睡眠導入剤は現在も服用が必要ですが、気圧アプリなどで体調管理を行いながら、服用量は半減することができました。
以前のように長時間労働はできませんが、規則正しい生活リズムを保ち、こまめに休憩を取ることで、仕事と健康のバランスを保てるようになってきました。
おわりに
大変だった時期の記憶がないという夫との生活は、会話もなく不安な日々でした。毎日が暗闇の中にいるような気持ちでした。
しかし今では、夫婦で散歩をしながら他愛もない会話を楽しめるようになりました。
子供たちも大きくなり、休日を楽しめるようになった今、「この何気ない時間が幸せだね」と夫婦で話し合える日々に、深い感謝を感じています。
この経験を通じて、心と体の健康がいかに大切か、そして家族の支えがいかに重要かを学びました。
同じような症状で悩んでいる方、またそのご家族の方々に、私たちの経験が少しでも参考になれば幸いです。
mawarimichi
出身:静岡県
職歴:観光業、製造業、飲食販売サービス業
趣味:食べ歩き、野菜直売巡り、ドライブ
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